漫画界の精進料理【葬送のフリーレン】。12巻まで読み終わったので感想をまとめてみた。

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皆さん、葬送のフリーレンはご存じでしょうか?

現在アニメも絶賛放映中のため、知っている方も多いと思います。

今回は、やっと12巻まで読み終わったので感想を書いてみたいと思います!

※ネタばれしますので、見たくない方はご注意ください。

今回の方針

『サンデーうぇぶり』で一日一話コツコツ無料で読んでいただけなので、今回は考察~みたいなガッツリした感じというよりかは、すずやが個人的に面白いなと思ったポイントをまとめました!

また、大変楽しく読ませてもらっているのですが、そことはまた別に、ここが興味深い!と感じたところをまとめていきます!

また、若干登場人物のセリフや名前がうろ覚えなので、その辺もご了承いただける方のみご覧くださいm(__)m

エルフ主人公の設定

『葬送のフリーレン』は色んな人が言っている通り、感情の起伏があまりない物語です。

泣いたり叫んだり怒ったりするところが極めて少ないです。

また、時間の経過が早いのも特徴ですね。

それら物語の特徴が、「主人公の特性」とリンクしているという点がこれまでにない感じで非常に面白い点です。

悪人がいない世界

〇魔族の設定による「悪」のクリーニング

フリーレン一行の敵と言えば、魔王をはじめとする魔族です。

魔族の定義は「言語を介する魔物」であり、人類(人間、エルフ、ドワーフ)とは根本的に異なる生き物とされています。

尚、魔族が人類を殺すのは「本能」と言われています。

つまり、魔族は「悪」なわけですが、一面では天災みたいなものでもあるわけです。

彼らは殺意はあっても本能なので、それが「悪いこと」だとは思っていません。

〇人間の「悪」もいない

「悪」である魔族が本能で人を殺しているとしたら、どういうことが考えられるでしょう?

人間同士の戦いと、それに伴う感情的な軋轢(あつれき)が発生しないということです。

本能で人間を殺し共感できない魔族と、人間は共存することができません。

魔族の協力を受けて自分の金儲けのために使ったり、他国を支配したりはできません。

七崩賢のマハトは人類に協力していましたが、それは彼に目的があったからであり、基本的に魔族は人間を殺します。

また、城塞都市ヴァイゼは貴族が腐敗していると言われていますが、それもほぼ匂わせるに留まり、具体的な言及はありません。

なので、この物語は基本的に「人類対魔族」の物語であり、「人類対人類」には進みません。

読み進めていくと分かりますが勇者ヒンメルによって魔王が倒されたといっても、魔族は生息しており、七崩賢の生き残りや名前付きの魔族がかなりいて、まだまだ平和な世の中とは言えないようです。

人類と人類が戦争をするほど平和になるのはもう少し先、ということでしょう。

老人ばかりの世界

主要キャラクターがほぼ老人という変わった物語です。

第2世代のシュタルクとフェルン以外は、主要なキャラで若者はほぼ出てこないです。

フリーレン、ゼーリエのエルフ、アイゼンとハイターも老境です。僧侶候補も30代?っぽいし、北の都市の城主もデンケンも老人です。

もちろん、資格試験では若者が出てきますが、あそこは色々なキャラが出てくる回ですし、デンケンおじいちゃんの活躍の布石となっているので、すずや的には老人紹介ゾーンです。

あとは魔族もほぼ長命なので、彼らも老人です。

そして始まるチート祭り

後半になると登場人物のレベルが上がりまくり、黄金都市ヴァイゼあたりになると、シュタルクとフェルンもいつの間にかチートになってます。

多分ですが、

フリーレンがチート →敵もチート(にならざるを得ない)→味方とフリーレンは対等にしたい

→ 味方もチートになる

みたいな感じかなと。

週刊少年ジャンプ的な努力!根性!火事場の馬鹿力的成長!というものを全て排した結果フェルンとシュタルクが自動的にチートにならざるを得なかったのでは?という予想を立てています。

教室になじめないあの子

フリーレンのパーティ作成展開は「誘い待ち」です。

自分で旅に出る!という主体性はありません。

フェルンは死期が近づいた養父がフリーレンに預けますし、シュタルクは近くの村でくすぶっていたところを誘われます。

僧侶さんはフリーレンに「いつ行くの?今でしょ」(意訳)と言われ旅立ち、実はこのセリフはフリーレン自身がヒンメルに昔言われたという過去が語られます。

登場人物達は、実力的には十分なのに何らかの理由で旅立てず、仲間が来たことをきっかけに旅立つというパターンが多いです。

そして、旅立ちとともに過去の自分を乗り越えるというのが大体セットです。

これは教室でなじめないけど陽キャのクラスメイトと仲良くなって青春始まりました、と似たパターンじゃない?と個人的には思っています。

異論は認めます!

やらかして後悔している奴がいない

もう一つ面白いのは、やらかしてた奴がいないという点です。

ここでいうやらかしとは、「自分が取った行動によって他人に危害を加える結果になった」ということです。

ストーリーの中では、デンケンの友人(彼のせいで仲間が死んだ)と、ヒンメル(判断ミスにより魔族が人間を殺してしまった)ですが、彼らが強烈に後悔しているという場面はありません。

登場人物が後悔していることは、大体「~をしなかったこと」です。

※ヒンメルが家族を持たなかったのは、この失敗が後々まで尾を引いていた可能性も・・?

癒しの物語

自分の判断ミスで魔族の群れが村へ突っ込んで壊滅した、みたいなことが起きたときは、

自分がやらかしたことの後悔が発生し、自分がやっていることが正しいのかという懊悩(なやみ)が発生し、

生き残った人たちに許しを請うという過程が発生するかもしれません。

ですが、フリーレンでは感情的な場面はほぼスキップされますし、自分たちのしていることを疑うことがありません。

魔族という完全な悪を倒すための善なる人々、というと立ち位置からブレることがありません。

結果として、

(過去)しなかった・できなかったことを後悔している→(物語で)行動する →現在・これまでの自分の肯定

によって傷が癒える、というパターンが頻出する結果になるのかなと。

心残りを消して心を癒す物語ですね。

あと、ないもの。

カップルと夫婦と家族が全然いないのも興味深いですね。

もちろん旅をしている途中なので町人に家族の設定は必要ないですが、ほとんどが魔物に殺される・病死等になっているのがすごい。

家庭の幸福が記憶の中にしかない。

こんなに家族が出てこないのは流石RPG!って感じですね

(RPGは役割が基本で家族があまりいないイメージ)

漫画界の「精進料理」

あらゆる感情表現が控えめで、葛藤が起こる場面がありません。

失敗して恥ずかしいとか、譲れない主義がある!という熱さや他人を貶すような傲慢さなどなど、

他人がいることから来る自己嫌悪や自己不振、消化不良、苦しみや羞恥といったものは省かれます。

そして、感情的に無風になるからこそ、仲間とのなんでもないやりとりや、過去の静かな回想が効いてきます。

まじで、出汁の利いてる精進料理です。

これはこれで成立していて、なおかつ面白いというのがすごいです。

個人的な感想

個人的には黄金都市ヴァイゼ編が好きです。

いやー、まさかの「おじいちゃんがほぼ主役」ですよ。

斬新。

あと資格試験の辺りも好きですねー。

個人的にはフリーレンがヒンメルたちとの回想シーンが毎回入るのは正直キツいな、と思っていたところからの資格試験だったので、

編集さんが敢えてぶっこんで来たのかな?と思ってます。

資格試験編は読みなれた週刊少年ジャンプ感がありました(笑)

なぜ回想シーンがきついかというと、私は他人の過去にそこまで興味持てないし、今いい習慣が付いとしても一回一回自分に報告されてもなぁ・・・。という冷たい人間だからです。

青春時代の思い出を毎日語られて喜ぶ奴はいない(偏見)

というか、そんなに毎回思い出せるんだったら多分ヒンメルのこともちゃんと理解してると思うから、わざわざ旅する必要あるのかな?とかね・・・。

終わりに

いかがでしたでしょうか。

ざっと書いているだけなのになぜか長くなりました(;’∀’)

楽しんでいただけたら幸いです。

それでは、本日はこれにて。

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