皆さん、オリンピックの開会式はご覧になりましたか?
あの、世界的に大不評だった開会式です。
その後のオリンピックでさらに色々あり、フランスってこんな国なの?と思った方も少なくないはず。
フランスへのあこがれが無くなった皆さん、次はアメリカと国際機関への認識もアップデートしましょう!
本日は、そのための書籍を紹介したいと思います!
基本情報
書名 『ショック・ドクトリン』(上下あり)
著者 ナオミ・クライン (1970年生まれ、カナダ人のジャーナリスト)
訳 幾島 幸子、村上 由見子
出版社 岩波書店
出版年 2011/09/08
2024年10月3日現在、上巻はAmazonで☆4.3の評価を得ている。
あらすじ
拷問によるショックを与え、それまでの記憶や個人の性格を「白紙」に戻し、好ましい人間に生まれ変わらせようという実験が行われていた。
この「ショック療法」はアメリカが多くの国へ、グローバル企業が有利になるよう行ってきた手法と酷似している。
アメリカは戦争や災害でその地域の人々がショック状態になるたびに、民営化やグローバル企業の市場参入を進め、時には自らクーデターなどを手引きしてきた。
この「惨事便乗型資本主義」とでもいうべき惨憺たる結果を引き起こした政局の数々を、気鋭のジャーナリストが報告する。
という感じです。
感想:とにかく分厚い
いやー、長かった。
ハードカバー上下巻計800pは読みごたえもさることながら、数十冊にものぼる参考図書をしっかり当たって書かれた骨太の名著です
ここまで長い本を読んだのは久しぶりでした。
欧米のジャーナリストは時々本当にしっかりした本を出してくるのが本当に素晴らしいです。
果たしてここまでのジャーナリストが日本に何人いるのか、ということも考えさせられました。
尚、すずやが調べた限りではハードカバーしかでていないため、読むのに時間がかかる人や持って歩くのがつらい人は購入することをお勧めします。
上巻だけでも十分読み応えのある内容です。
こんな人におすすめ
少し世界史的な素地がある方がよいので、高校で世界史(近現代史)を学んだことのある人(なくても問題ない)
大学生以上で、あまり政治に興味を持ったことのない人におすすめ。
国際的な政治や経済に詳しくないが、第二次世界大戦後の流れは知っている、というくらいの人に一番おすすめです(すずやはここでした)
惨事を引き起こしたのは誰なのか
欧米諸国、特にアメリカとIMFや世界銀行への認識が大幅に変わります。
アメリカで生まれたシカゴ経済学派の信奉者が、南米をはじめとする諸外国にどれだけのショックを与えたのかという胸糞の悪い話がこれでもかと語られます。
具体的に言えば、クーデターの援助、反体制派の拷問や殺害への黙認や援助等です。
その後行われた国の資源や政府部門をグローバル企業(米国が主流)を売り払った結果、国民が悲惨なほど貧しくなったという事実が語られます。
この本を読み終わるころには、
・アメリカ=正義と言いつつ金のためなら何でもやる国
・IMFや世界銀行=国連の組織なのでまともだろう→間違い。
ということが嫌でも分かります。
西洋諸国や国連にふわっと良い印象を持っている人には、認識を改めるよい本となっています。
日本のグローバル企業も警戒が必要
同時に、日本のグローバル企業への警戒心を持てるようになるところもいい点です。
経済同友会のような大企業にも懐疑的な目で見る人が増えましたが、ある企業が利益を得ることに徹しきると、どれほど惨いことができるのかということを理解することができます。
果たしてこれは、外国の企業が他国でやっているから日本では起こらない話と断言することができるでしょうか?
もちろん国のためお客様のためという気持ちがある経営者もいるかとは思いますが、経営に徹した企業はときに人の都合や利益やときには命さえも簡単に売り払うことができるということを学ぶことができます。
読んだ後:イスラエルの都市計画
少し前にイスラエルがガザの復興後の都市計画を発表したと話題になっていましたが、正にこの話じゃん?と思ったすずやでした。
これでもしアメリカ資本が主体で作るということであれば、未だに同じ手法を繰り返しているということです。
終わりに
さて、簡単な説明ですが感想を書いてみました。
あまりうまく説明できませんでしたが、興味を持たれた方はぜひ読んでみてください。
それでは、本日はこれにて。
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