呪いの仕組みを探し出そう。『春の呪い』考察のススメ

コミック

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映像化されたコミックって、手が出しにくい時ありませんか?

『名前は聞いてるけど、なんか読む気しないんだよな~』とか、『内容ちょっと知ってるし、今さら読まなくていっか☆』とか。

今回は映像化された作品で、読んだらすごく面白かったので、ご紹介します。

小西明日翔先生の著作、『春の呪い』です。

※今回はガッツリネタバレ含みます。
 また、かなりの量が個人的な考察です。

あらすじ

主人公:立花夏美は、死んだ妹:春の婚約者と付き合っている。名前は柊冬吾。

春が病死したことをきっかけに夏美と付き合うようになる。

最愛の妹である春を喪った夏美と、政略結婚とはいえ、結婚を前提に春と付き合っていた冬吾。

二人は春に対して複雑な思いを抱えながら惹かれはじめるが……。

という感じです。

あらすじをだけを読むとすごく簡潔ですね。

全体を振り返っての感想

全2巻で完結する作品なのですが、そんなことを感じさせないほど内容が濃く、素晴らしい完成度です。

二人が苦悩しつつ答えを見つけるまでの葛藤を見ていると心揺さぶられます。

全体的に重い話ですが、主人公の性格があっけらかんとしているのと、夏美と冬吾のやりとりが面白く、話の暗さを和らげています。

読者が読んでいても楽しそうだから、なおさら二人の苦悩に感情移入するのかもしれません。

季節に関する単語が多く、考察したくなる

一読して、季節を表す言葉が多いことに気づきます。

主人公の名前だけではなく、苗字も季節がありますね。

柊…冬に花をつける植物です。柊で冬吾、まさに冬の名前です。

  花言葉は「用心深さ、先見の明、歓迎、保護」です。

  そして柊の葉は春の初めである節分に魔除けとして飾られます。

立花…同じ音の「橘」は、晩春から初夏に花をつけます。

   花橘は6月(仲夏)橘は10月(晩秋)の季語です。

   古くから、追憶不老不死、永遠などの意味を持ちます。

   また、桃の節句に飾られる植物です。桃の節句は元来は「春の訪れを祝う」行事です。

   まさに春と夏美の姉妹の季節とぴったりですね

   補足になりますが、ひな祭りは病気や厄を身代わりに人形に受けさせて川に流す、という行事が

   もとになっているといわれています。

季節は巡る?

この漫画の最初の章のタイトルは『Spring is gone.』です。

春は過ぎ去った、または人としての春が死んだという意味にも取れます。

その次の章タイトルは『7月』で、そのまま9月まで進み、10月を飛ばして11月が来て、最後は『and winter will come』で終わります。

10月の章タイトルはありません。
物語の中の10月は一時的に夏美と冬吾が別れた後と見られ、特に言及はありません。

9月の後編で夏美が見つけたツイッターでは、春が「アキ」というハンドルネームでツイッターを始めたのが五年前の10月、入院して夏美と冬吾について考え始めるのが10月2日です。

10月は夏美と冬吾ではなく、「アキ」(春)のための1ヵ月ということなのかもしれません。

そして、春→夏美→「アキ」→冬吾、というように、春夏秋冬が3人の名前で巡るように配置されます。

必ず春(アキ)を挟んで巡るようになっているのは、夏美と冬吾の関係が、この先も決して春を抜きにして成立することはない、ということの暗示でしょう。

まさに、「春の呪い」ですね。

個人的には、「Spring is gone.」はピリオドがついているのに、「and winter will come」はピリオドがないのは、前向きな未来を感じます。

姉妹の性格について

妹の春が「自分と姉とは違う。そして姉と冬吾の方が合うのでは」と怖れていたのですが、それは果たして何なのだろう?と考えてしまいます。

夏美が春と違うところは、実母譲りの自由奔放さ、父親から愛されていないところ、頭はよくないが行動力がある…という感じでしょうか。

冬吾は親の言うとおりに生きる人生に不満がなかったと最初は言っていますが、最終的に家をでて解放されたいと言っているので、自身の気づかないところで自由に対する渇望があったのかもしれません。

二人に共通しているのは、環境に流されずに切り開いていこうとする自我なのかな、と思います。

終わりに

長々と書いてしまいましたが、これは個人的な考察なので、皆さんが読むとまた違う考えになるかもしれません。

自分なりに調べたり考えたりすると、とても面白いです。

友達同士で語っても楽しいと思います。

ご興味を持たれた方はぜひ、ご一読ください。

こちらからは以上です。

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